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【初めての美容院】

著作:のりだーさん



お姉ちゃんと一緒に暮らし始めて,数ヶ月が経ちました.
嵐のような反抗期もいつしか過ぎ去り,ボクもちょっとは大人になったようです.
お姉ちゃんが言っていることも,少しわかるようになりました.
それに,芸と言えるほどではないけど,お手,おかわり,おあずけ,待てくらいは
出来るようになりました.わからんちんだった頃に比べれば,格段の進歩でしょ?
お姉ちゃんのノイローゼも深刻化せずに済んで,一安心です.
やっぱり若いうちに暴走しておくと,落ち着くのも早いってもんです.
(なんか,違う気もするが・・・・)



ちまたではつい昨日まで,ジングルベ〜ル♪なんて曲が流れていたのですが,
今度は「お正月」というのがやってくるらしいです.
お正月って・・・・なに?・・・それ,おいしいもの?
お正月を迎えるには,そこら中をきれいにするのがこの世のならわしだとか?
なんでだか,ボクにはよくわからないんだけど・・・・(・_・?)
どうやらボクも“そこら中のもの”の一つのようで,
「ピラフ,今日はキレイになりに行こうねっ!」
お姉ちゃんはこう言って,ボクを美容院というところへ連れて行きました.



ういんへはワクチンというものをしに行ったことがあるけれど,
ういんは初めてです.びよういんも遊んでもらえるところなのかな?
美容院にも,病院の先生と同じ様な白い服を着た人がいました.
ボクを台の上に乗せて,体を撫でてくれました.
ここまでは同じだったのですが,何だかワクチンの時とは様子が違います.
ビニールのエプロンを付けた白い服の人は,
ボクの家のに比べると小さな湯船に,ボクをどぼーん!と入れて,
わしゃわしゃと体を洗い始めたのです!
最初はちょっとびっくりしたけれど,温かくて気持ち良いので
だんだんうっとりしてきました.
美容院っていいなぁ〜(*^^*)
とっても気持ち良かったのですが,美容院を初体験したボクは
ちょっと疲れてしまいました.
この時ボクは生後半年,体重にして20kg.現在の半分くらいの
大きさしかなかったので,洗ったり乾かしたりするのは(今ほど)
大変ではなかったようです.では,何にそんなに疲れたかと言うと・・・・
キレイにしてもらってる間中,白い服を着た人たちに「ねえ,遊ぼうよ〜」と
じゃれついていたので,はしゃぎすぎて疲れたのです(;^_^A
ピカピカのふわふわ,ぬいぐるみ状態に変身して,
犬用の待合室(つまりケージ)でお姉ちゃんを待つ間,
一眠りすることにしました.


「ピラフ,お待たせー!」
お姉ちゃんがお迎えに来ました.
美容院の入り口から外を見ると,なんと土砂降りです!
ご丁寧に雷まで鳴っています.来るときはあんなにいいお天気だったのに・・・・
「ちょっと窮屈だけど,これを着て帰ろうね」
そう言ってお姉ちゃんが取り出したものは,数枚の黒いビニール風呂敷.
これ・・・どっかで見たことあるなあ,なんだっけ?(・_・?)
そうか!切り開いたゴミ袋だ!
それで,これをどーしよーって言うの?
お姉ちゃんは器用にゴミ袋・・・風呂敷をボクに巻き付けました.
所々ガムテープで留めて,ちゃんとしっぽが出るようにして・・・
即席レインコートの完成です〜!ヽ(^0^)ノ
ちゃんとフードまで付いているんです.わぁ,おっしゃれ〜〜!(^^_)♪
誰ですか?“ピラフの成長日記パート2”を見て,
「泥棒のほっかむりだ」なんて言ってるのは?



お姉ちゃんの苦心の作のおかげでボクは,
ピカピカのふわふわのまま家に帰ることができました.
ただいま〜っと・・・・さて,ブルブルブル!!
(レインコートの)水気を飛ばそうと
つい,いつものクセで思いっ切り体を振るってしまいました.
「あーーーっ!!!・・・あ〜あ」(×_×;)
お姉ちゃんの叫び声にびっくりして周りを見回すと,
ついさっきまでボクの一張羅だったものが,
バラバラになって足元に散乱していました.
「苦労して作った(?)のに・・・・・」
ブツブツ言いながら,ボクの顔をまじまじと覗き込んだお姉ちゃんは
今度は突然吹き出しました.
「似合わなーい!」
とボクの頭を指さして笑いこけています.床をばんばんと叩かんばかりの勢いです.
え?頭?・・・・そう言えば仕上げ際に美容院で何か付けてもらったっけ.
お姉ちゃんに外してもらった「それ」は,小さな小さな青いリボンでした.
小型犬が,耳や頭にちょんちょりんをするときに使う,アレです.
リボンの大きさからしてアンバランスな上に,近頃オッサン顔
なりつつあるボクには,あまりにも似合わないシロモノでした.
人間の子供用のリボンなら,大きさはちょうどよかったんでしょうが,
リボンが似合う顔つきだったのは,何ヶ月か前までのことです.
美容院の方々も,もしかしたら笑いをこらえて付けてくれたのかも知れません.
それからも何度か美容院に行きましたが,すっかり大人になったボクには
さすがにリボンは似合わないと思われたらしく,次の年末の
美容院でのお土産は,首輪に付けたお正月飾りになったのでした.




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